逆説的

学生の頃、そのころよく一緒に行動してた友だちがあたしの絵をじっと見つめて、まりやの線は揺れてるって言った。たしかにそう。今も。あたしの「直線」はいつもゆらゆら、じりじり、じわじわ、インクがにじみながら、ときに溜まりながら、でもまっすぐ。
それは心の揺れが、手に、そしてペン先に伝わって紙の表面に出てきてしまっているのかも、とふとおもった。あたしの心は常に揺れてる。不安とか、過去へのうしろめたさ、ひとに対する気持ち、存在の不思議さと曖昧さ。

でも絵はどうやろう。。あたしの絵は、そんなあたしの心とは裏腹に、下描きなしで描いていくところや、その線の強さゆえ、見る人がそこに自信や大胆さ、確かさみたいなのを感じるらしい。
ゆらゆら、じりじり、でもまっすぐ。ふんばって、地に足をつけるようにペンが紙に足跡を残してるかのような。

この逆説的な事実は、予告なしに登場する不調和音みたいに突然現れた。今日。くもり時々雨。昨日の写真を頼りに無地の赤べこに秋の空を描きながら、これをどう考えたらいいんか、静かに考えをめぐらせてみる。